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死刑廃止論者の傾向と対策

Posted by やぷーる on 08.2010 6 comments 2 trackback
「冤罪があるかもしれないから、死刑を廃止すべきだ」と言われたら

彼らの主張は以下の通りである。

理性は不完全である。ゆえに、裁判官の判断には誤りが伴う。そして、人は死ぬと二度と生き返らない。
以上のことを鑑みると、もしも冤罪に基づいて死刑判決が下り執行されたら取り返しがつかない。
取り返しがつかないことが起こりうるものは廃止すべきである。ゆえに、死刑は廃止すべきである。

確かに理性は不完全であり、冤罪の可能性はあり得る。しかし、理性の不完全性を根拠にするならば、死刑のみならずあらゆる文明の営みを廃止せねばならなくなる。
例えば、航空機などをいくら点検しても故障する可能性は決して無くならない。なぜなら、理性が不完全であるために杜撰な点検をしてしまうかもしれないからだ。もしも航空機が墜落すれば、たいてい乗員・乗客のうちの誰かが死ぬだろう。ゆえに、「冤罪なのに死刑に処される」ことと「航空事故に会って死ぬ」ことはどちらも「死ぬ」という点が共通している。そして「取り返しがつかない」という点も共通している。
「取り返しがつかないことが起こりうるものは廃止すべきだ」というならば、死刑のみならず航空機も廃止せねばならなくなる。それどころか、政治・経済・医療・建築などのあらゆる文明の営みを廃止せねばならなくなる。もっと言うと、そもそも「人が死ぬ」ためには生きていなくてはならない。死んでいる状態からさらに死ぬことはできないし、生まれてもいない状態から死ぬこともできない。だから、「生きている」だけで取り返しがつかないこと(死ぬこと)が起こり得るわけだ。では、「『生きること』を廃止せよ」とでもいうのだろうか。
これまでのことを鑑みると、「取り返しがつかないことが起こりうるもの」は「直ちに廃止する」のではなく、「取り返しがつかないことがなるべく起こらないようにする」ことを先にすべきだといえる。つまり、「取り返しがつかないことが起こる」確率を限りなくゼロに近づけるということが先なのである。もしも、その確率がどんなことをやっても高いまま維持されてしまうならば死刑を廃止してもよいだろう。しかし、現在の司法では冤罪死刑を防ぐために三審制や再審請求などの制度が採用されているではないか。
以上のことから、冤罪の可能性を根拠にした死刑廃止論は、成り立たない。


「死刑執行人の苦悩を抱えるから死刑を廃止すべきだ」と言われたら

彼らの主張は以下の通りである。

 たいていの死刑執行の場合、執行する刑務官は死刑囚に対し何の恨みも持っていない。
 それにもかかわらず、刑務官は死刑を執行せねばならないのが現状である。ゆえに、刑務官は、苦悩を抱えてしまう。
 人が苦悩を抱えるような制度は廃止すべきである。ゆえに、死刑は廃止すべきである。

確かに死刑執行人は苦悩を抱えるだろう。しかし、「死刑執行人が苦悩を抱える」という結果を作った原因は「死刑制度が存在すること」だけではない。なぜなら、一つの結果には複数の原因があるからだ。例えば、「誰かが死刑に値するような罪を犯すこと」も原因の一つではないか。
さらに、「誰かが苦悩を抱えること」の原因を「制度の存在」に求めた上で「廃止せよ」というならば、民主制も廃止せねばならなくなる。民主制は、多数決が原則である。多数決の欠点として、「少数派の意見が通らない」という点が挙げられる。誰でも、自分の意見が通らなければ苦悩を抱えるだろう。だからといって、「民主制を廃止せよ」と言えるだろうか。
少なくとも、我が国では少数派の苦悩をやわらげるために法律を天皇が公布している。天皇という権威ある人物が法律を公布することによって、少数派にとっては、「天皇がお認めになるならば仕方が無い」と考え、あきらめがつくのだ。つまり、「誰かが苦悩を抱える」ならば苦悩を抱えなくて済むような方法を考えればよいのであって、「直ちに廃止する」というのはあわただしすぎるだろう。死刑執行に関しても、苦悩を抱えない方法は考えられる。
例えば、「被害者の遺族が執行する」「電話がかかると自動的に死刑が執行される装置を設置し、その電話番号を国民に公開する」「死刑囚が縄を首にかけると、センサーがそれを感知し、数秒後に自動的に執行される」など。
以上のことから、死刑執行人が苦悩を抱えることを根拠とする死刑廃止論は成り立たない。


「全ての人には生存権がある。ゆえに、死刑は廃止すべきである」と言われたら。

彼らの主張は、以下の通りである。

 全ての人には人権がある。そして、人権の一つとして生存権がある。いかなる人の生存権でも侵してはならない。
 死刑は、生存権を侵すものだ。ゆえに、死刑は廃止すべきである。

刑法に定められている罪の中で、犯すと死刑になるかもしれない罪は、全て生存権を奪うような罪である。例えば、殺人罪はその典型であろう。刑罰の本質は同害報復である。同害報復とは、「被害者が受けた不利益と同じ不利益を加害者にも与える」ということだ。ゆえに、誰かが他人の生存権を奪ったならば、その者の生存権も同様に奪われるべきである。
ちなみに生存権を主張するなら、懲役・禁錮は自由権の侵害であり、罰金・科料・没収は財産権の侵害である。
ゆえに、生存権を根拠とする死刑廃止論は成り立たない。


「国は殺人を禁止している以上死刑制度は矛盾している。ゆえに、死刑は廃止すべきである」と言われたら

法律とは、様々な規範のうち、「統治権力が民衆に対して守ることを強制している規範」のことを指すものである。つまり、法律とは、民衆を拘束するものであって、統治権力を拘束するものではないのだ。だから、統治権力は、刑法第199条の殺人罪を守らなくてもよい。戦争・死刑などが許されているのは、そのためである。
ちなみに、統治権力を拘束する規範は、法律ではなく、「憲法」である。


「多くの国が死刑廃止をしているから日本も合わせるべき。ゆえに、死刑は廃止すべきである」と言われたら

ある政策が多数の国で採られているからといって、その政策が望ましいとはいえない。したがって、この論証は、詭弁である。ちなみに、こういった類の論証は、論理学で、多数論証と呼ばれている。


「加害者の死刑を望まない被害者もいる。ゆえに、死刑は廃止すべきである」と言われたら

死刑を免れた加害者が、もし再犯したら、その被害者は、どう責任をとるつもりだろうか。


「死刑には犯罪抑止力がない。ゆえに、死刑は廃止すべきである」と言われたら

犯罪者が死ねば、再犯できないので、そういった意味での犯罪抑止力は、ある。しかし、民衆に対する見せしめとしての抑止力は、あるかどうかわからない。しかし、刑罰の中で最も重い死刑に犯罪抑止力が無いならば、懲役・禁固・罰金・科料のような軽い刑罰は、なおさら抑止力が無いことになるだろう。だとしたら、全ての刑罰を廃止せねばならなくなる。
そもそも、刑罰の本質を、「犯罪の抑止」や「犯罪人の社会復帰」と見なす考えを目的刑論といい、「犯罪に対する応報」と見なす考えを応報刑論という。目的刑論から見て死刑が無意味だとしても、応報刑論から見れば有意味である。


「死刑は人間の改善・改良の余地を奪う。ゆえに、死刑は廃止すべきである」と言われたら

他人の改善・改良の余地を奪った者は、自分の改善・改良の余地を奪われても仕方がない。


「国であっても人を殺すことは許されない。ゆえに、死刑は廃止すべきである」と言われたら

それを言うなら、懲役だって「国であっても強制労働することは許されない」といえるし、罰金だって「国であっても財産を奪うことは許されない」といえる。


「死刑は残虐な刑で憲法36条に違反である。ゆえに、死刑は廃止すべきである」と言われたら

最高裁は、「死刑の執行の仕方によっては残虐な刑罰になるが、死刑そのものが一般に直ちに違憲とはいえないとしている」という判例を出している(引用:伊藤正己『憲法』344頁)。


死刑廃止を主張する主な政治家

名前     所属政党   議席
亀井静香 国民新党 衆議院
福島瑞穂 社民党     参議院
千葉景子 民主党     参議院
仙谷由人 民主党     衆議院
ツルネン・マルテイ 民主党 参議院
照屋寛徳 社民党     衆議院
辻元清美 社民党     衆議院
井上哲士 日本共産党 参議院
仁比聡平 日本共産党 参議院
鈴木宗男 新党大地 衆議院
加藤紘一 自民党     衆議院
中川秀直 自民党     衆議院

http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/708.html
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2010年12月08日 (水)
死刑廃止論者の傾向と対策
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